確定申告計算と記入、昨日午後から夜で終え、他にしたいことを諦め得る雨に感謝。今日の提出期限に間に合う。変わらずのご機嫌な貧乏収入を数字で感じ入るが、何故かカネに不自由はない。

　計算合間の嫌気癒しにヴィムウェンダース監督／役所広司主演『Perfect Days』を見る。トイレ仕事に誇りを持ち、手を抜かず、一見単調な日常の繰り返しを淡々と楽しむ主人公。玄関開けて見上げる空、休憩中の公園の木漏れ日、夕方の銭湯、帰る前の軽い一杯ひとり飲み、寝付く前の読書、車中にカセットで往年のミュージシャンを聴く、何気ないことや人の営みに微笑む、時に優しく泣く。タイトルがパーフェクトな[Day]ならぬ[Days]なことに見終わってから気づく。久しぶりに余韻残るいい映画だった。

　フキノトウが土から顔を出したら喜び、青い空に感銘し、雲の波や形を眺め、太陽の暖かみにホクホクし、月の美を愛で、人にたまに落胆するも逆に喜びと笑い頂戴し、今朝は庭に自生した明日葉のつぼみと秋から置いたナラ原木に椎茸が出始めて、それぞれお初で採る。そんな中に日々、つい微笑んで感謝している自分が映画と重なる。

　どんなに腐ったこの社会、それでもこの世は美しい。