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今宵は満月。昨晩も明るい宵だった。
照明がなくても歩けるし
庭の畑に何が植わっているかだって見える。
 
ふと発見した。
 
匝瑳に移住してからというもの、
毎晩、
雲や雨がなければ月灯りの移り変わりや明るさの程度に気づき、そして、何気無しに感謝する。
新月には暗さに気づき、やっぱり感謝する。
 
池袋でタマツキを営み、練馬に住んでいた時、
金沢で料理を会得していた時、
水戸でマルイに勤めていた時、
いやもっとずっとずっと以前の
横浜と横須賀と逗子の狭間で育った子どもの頃から、
それを感じたり気づけたろうか。
気づいたこともあったが、それは旅の空の下での一瞬のこと。
 
都会の街も田舎の町も大抵の道も、
生まれた時から夜はずっと電灯や照明に照らされている。
月に照らされる明るさの程度や新月の暗さなど、
気づきようがないんだ。
 
照明がない、
もしくは照明がほとんどない田舎というところに住む報酬だ。
人類の営みが始まって以来の
遥か遠い先祖たちと同じ夜の光景を見られるのは、
田舎の照明のない場所にしかない。
街でも町でも見られない。
 
全ての電気を消し、月の灯りを感じ、
お茶をすする、酒をすする、
悠久の時を超えて、なんとも言えないロマンと贅沢なんだ。
 
 
 
 
 
 
⭐️  髙坂 勝  情報

 

 

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